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むずかしい


2023/6/6

どうしてこう、私は自分を表現することが下手なんだろう。

自分の正直な気持ちや、本当に伝えたいことをそのまま言葉にすることができない。
特に夫に。
妙に緊張してしまうし、こう言ったらこう思われてしまうかもしれない、隙を見せないように、馬鹿と思われないように。
そんなことに気を取られて本来伝えるべきこととは違う内容のことを伝えてしまい、話した後に少し落ち込む。

何かが違う、私が言いたかったことはこれじゃない、本当に伝えるべきはこれじゃなくてあれだったんじゃないか・・・。
ある時からそんなことを感じるようになり、夫と会話をすることが面倒になった。

もっとのびのび会話をしたい、文脈や言葉尻なんか気にせずに思いついたことをそのまま素直に口にしたい。
夫と話しても理解されない、理解されるような話し方ができない、そして夫の話すことに共感もできない。
話すことで余計に虚しくなり疲れる。
夫以外の大人と話す時のように会話が展開していかない。
会話、てこんなに難しかったっけ?と思う。

あんなに好きで結婚したのに、今や一番気を張らなければやりとりできない人になった。
嫌いじゃないけど好きではない人。
自分のなかで諦めてしまった人。

いつからこんな風になったんだろう。

以前、夫は仕事でも健康面でも非常に大きなストレスを抱えていた時期があって、その時は完全にモラハラ状態だった。
子供達はまだ幼く、長男でさえまだ幼稚園だった。
その時の私は夫から何を言われても、どんなに失礼な態度をとられても、
そうさせる私が全て悪いと本気で思っていた。

夫は常にイライラしていて機嫌が悪く、いつもビクビクしていた。
暴力をふるわれたことは一度もありません。
精神的な暴力のみです。でも、もともと自己肯定感の低い私のような人間には充分過ぎるほどの恐怖でした。
でもまだ夫が好きでした。
以前のような優しい夫に戻って欲しい、私が頑張ればきっと戻ってくれると信じていました。

長男が小学1年生の時に病気で夫が倒れ、死ぬか生きるかの状態になりました。
もし命を取り留めてもおそらく何かしらの後遺症が残るでしょうとまで言われていました。
病院でチューブに繋がれ処置室に運ばれる意識のない夫を見た時はびっくりしました。

一通りの処置が終わったあと、看護師さんが気を利かせて特別に夫のそばに私を添わせてくれたのですが、
「どこを触ればいいんだろう」「なんて声をかければいいんだろう」と固まってしまった。
意識のない夫に気を遣ってしまったんです。
これはもう夫婦として末期ではないかと思いました。

そんな私の姿を看護師さんは不思議そうに見ていました。
「手を握ってあげて」と優しく促されたような気がする。

その後、駆けつけたお義母さんが到着するなり何度も何度も名前を呼びかけながら、
まだ意識の戻っていない夫の手を握り体をさする姿を見て、
「ああ、こうするのが正解だったんだ」とぼんやり思ったことを覚えています。


結果、夫は生還しました。何の後遺症もなく。奇跡なんだそうです。


入院中、夫婦二人になる時間が多くあり、病気が治癒したことで夫も随分穏やかになり、
これまでのことを頭を下げて謝ってくれました。
ああこれで以前の夫に戻った、と思いました。家族幸せに暮らせると思いました。

でも、そうはいかず今に至ります。
当時と違うのは、私の立場が強くなったこと、夫からのモラハラがなくなったこと。
そして一番大きな変化は、私が夫を好きじゃなくなったということです。

モラハラ時代にとっくに気持ちは離れてしまっていたのかなと思います。
それに気付かず、一生懸命愛そう愛されようとしていたのかもしれません。

相手のことが好きではなくても、家族として愛情をもって、
かつ夫婦の情のようなもので関係を良くしようという気持ちは少なからずお互いあると思う。
でも、もう根本のところで拒否してしまっているような感情が私にはあります。

「どうせならあの時そのまま死んでくれたら良かったのに」と思う時もありました。
今は、、、、分かりません。
そう思うとも思わないとも言えない。

分からない。